はじめに
花鳥風月、天地自然の美しい風景に囲まれた、愛する地域(まち)は寒河江川流域の懐深い豊かな
る恵みと、森羅万象に神が宿る信仰の原風景である出羽三山により、大自然の浄化、蘇生、
共生原理に基づく山岳信仰の聖地として、聖徳太子の活躍していた時代の593年から歴
史は始まり1400年の時を刻んできました。「西の伊勢参り」に対して「東の奥参り」と
称され、今なお多くの信者が登拝され、同じくして、東北各地には三山の名を刻んだ石碑
を今もいたるところで見ることができるのは、何より日本人が古(いにしえ)から守り続けてきた精
神文化の証であります。そんな精神性を心根に、営みを続け、先人達が繋ぎ創ってきたこの地域(まち)
が誇るべき大切な文化、伝統と多くの価値を継いで、子孫に伝えていかなければな
らない私たちは、戦後の歴史から数えること60年とわずかな間に欧米の文化を受け入れ
ながら自国発展の原動力として機械産業における急速な発展で物質的には豊かな暮らしを
築くことができました。しかし、近年では経済至上主義が横行し、マスメディアやインターネットによる情報が氾濫する生活で、集団化・大衆化する群集心理から「流行」(はやり)が生み
出され、個人の主体性を失い、道徳観の欠如と精神的な衰退が加速し、何より日本人とし
ての誇りは現代文化の発展に相反して置き去りにされていることを感じずにはいられません。
私たちは、「個と公の調和」のとれた「活力と知力」あふれる社会創造を目指した2000
年代運動指針から10年の節目を迎え、経済市場への不安感とめまぐるしいスピードで進
もうとしている社会情勢に翻弄されがちな時代において、政権交代した政治に期待感を寄
せながらも、現状を見つめ2020年に向け、改めて運動指針を心に定位しなければなり
ません。混沌としたこんな時代だからこそ、自分と向き合うこと。今こそ、人としての原
点に立ち返り、自然の恵みに生かされている原理原則を基に、日本人としての精神性と道
徳観を重んじ、倫理規範を一人ひとり持つことから始めていきましょう。
~未来を創る志~ 日本人の心から始まる意識変革運動
「一身独立して一国独立す。そして、立国は私なり、公に非ざるなり。」
これは明治維新という、近代日本における第一の開国と呼ばれる時代において、啓蒙家・
思想家として偉大なる功績を残した福沢諭吉の言葉です。その意味は、「一国の独立とは公
が達成するものではない、一人ひとりの国民こその問題である」と説いています。この言葉は愛する地域(まち)
を創っていく志に結び付かないように感じる方も少なくないと思いますが、
広い視野で先を見たときに一番重要で、原点にしなければ何も解決の糸口を見出せないと声高(こわだか)
に叫びたい。詳しく言うならば、私たちのまちの未来を創るためには、内面的、精神
的な部分から取り組むことが必要です。内面的、文化的な精神とは皆さんの気風であり、
そしてその求められる気風こそが「自律自尊」なのです。それは己を律し自己の尊厳保ちながら魂から漲(みなぎ)
る志を掲げるということ。世間、社会、体制、常識、そうしたものよりも
はるかに価値があるものが人間一人ひとりの中にはあり、それを目覚めさせることこそが
私たちにとって必要なことです。そして、未だに日本社会に残るもたれあいの構造、官重
視の発想、そして国家を支える共同体としての美徳の欠如。国民の誰もが抱える空虚感は、
決して、戦後から起こった国民意識の低下だけではなく、むしろ明治維新において変わら
なければならなかった部分、世界の中の日本人としての気概、誇りの欠如からゆえに発生
しているものでしょう。そしてその欠如が、このグローバリゼーションのもとに第三の開
国ともいえる現在の日本に問われているものなのです。では一体日本人の美徳、気概、誇
りとはなんでしょうか。それを教育勅語に求める人や憲法改正に望みを持つ人もいるでし
ょう。私は武士道を礎とする「自律自尊」こそが、現在の日本を救う原点だと考えていま
す。個人の解放といえば使い古された言葉のように聞こえますが、天分の発見とでもいう
のか、自分を知るとでもいうのか。その人にはその人の道があり、天与の尊い道があり、
それぞれに違う個性がいかに多元的に協同し、協調し、競争していけるか。「自律自尊」を
以って個人を生かし、社会を創る、それが真に目指すところなのです。「自律自尊」という
気風、気品こそが新しい時代の社会ルール、社会的価値となりえることを私は主張し続け
ていきたい。そしてその気風、気品こそがグローバリゼーションの中で日本が日本という
固有の国家として存在し続け、かつ世界に対して貢献することができるためのエッセンスなのです。
~これからの地域を創る~ 大切な命を創る「食」でつなぐ絆
元来、日本の食物は、人間肉体の栄養や熱量を摂取するばかりでなく、また味覚に満足す
るばかりでなく、あるいは私たちの精力を養ったり、病を治すもののみならず、食膳に大
自然を再現する一つの芸術でもあります。箸をひとつとっても、箸により木を味わう。木
の持つところの、難しく言えば「朴」(ぼく)の哲学、人間の永遠性の原理というものを感じるも
のであります。茶碗によって土を味わう。匙(さじ)の散蓮華(ちりれんげ)をしのぶ。従って食うことも単なる
食ではありません。人格生活の一部分になっ1 ているのです。近年では日々忙しい生活を送
る中で、私たちは「食」の大切さを忘れがちです。栄養の偏り、不規則な食事、肥満や生
活習慣病の増加、過度の痩身志向などの問題に加え、新たな食の安全上の問題や、海外へ
の依存の問題と、食に関する情報の氾濫する中で、私たちは、食生活の改善の面からも食
の安全の確保の面からも自ら「食」のあり方を学ぶことが必要です。また、豊かな緑と水
に恵まれた自然の下で先人から育まれてきた、地域の多様性と豊かな味覚や文化の香りあ
ふれる日本の「食」が失われかけているのではないでしょうか。こうした食をめぐる環境
の変化の中で、食に関する考え方を育て、健全な食生活を実現することが求められている
とともに、都市部と農山漁村の共生・対流を進め「食」に関する消費者と生産者との双方
の視点から信頼関係を見つめ、地域社会の活性化、豊かな食文化の継承及び発展、地産地
消から食品自給率を向上し、環境と調和のとれた食料の生産及び消費を目指してまいりま
しょう。自然の恵みに人の手をかけ創られた食にあずかり命を支えていただいている。「食
の循環は、命の循環」であるとするならば、それは正に私たちの命を支える絆であり、百
花繚乱美しい日本で、植物や動物と人、人と人、人と企業、人と地域、地域と地域、日本
と世界、互いに作用し万物を繋ぐ絆であるといえるでしょう。
~未来の担い手を育む~ 自然の摂理から道徳心を養う
「三つ子の魂百までも」ということわざの通り、幼児期から幼少期の教育は人格形成の基
であり、以後の小学校~社会人へと成人するまでは、誰もが家庭教育と学校教育を行うこ
とが義務づけられていますが、はたして戦後に「教育は国家百年の大計」と言い、定めら
れた学校教育法を軸とした結果を見て、皆さんはどのように感じるでしょうか。小学校の
教育目的には、「自主及び自立の精神を養い、郷土及び国家の現状と伝統について、正しい
理解に導きながら、日常生活について必要な衣・食・住・産業等について基礎的な理解と
技能を養うこと。」と定められていますが、教育現場では知識としての学力を向上させるこ
とを重要視するあまり、精神の成長と道徳心を育むことは少し後回しに扱われてきたので
はないでしょうか。但しこれは学校教育より以前に家庭教育が基本であることは言うまで
もありません。生活上の不自由さを感じない豊富で贅沢な食事にあずかり、物余りと言わ
れ、大量生産と消費をつづけ、余ったものはすぐに廃棄するといった、先進国ならではの
矛盾を繰り返してきた時代の代償として、子供たちを取り巻く環境は急激に変化し、親と
の対話や家庭教育も、意識的に取り組んで行かなければ減少傾向にあるのは仕方ない、と
いう考え方だけでは済まされません。因果応報、その代償は私たちに返ってくるのです。
私たちは地域教育の担い手として、地域ボランティアの方々と協力しながら、学校や家庭
では学ぶことができない地域全体を利用した、自然の恵みに生かされていることを主軸と
して、生きる上では欠かすことのできない衣・食・住の中でもとりわけ食育を中心とした
実践的体験から道徳心を育んでまいります。同時に、私たちも一緒に成長できる運動を展
開することが、まちの未来を創造することにつながると信じ、積極的に取り組んでいきま
しょう。
~志を掲げるには己を磨く~ 自分への挑戦
誰が明るい豊かな社会を創るのか。それは私たち自身です。志は熱く、そのための知恵
は冷静でなくてはなりません。熱い意志と冷静な知恵は互いに切っても切れない関係にあ
り、意志のないところに知恵は生まれず、知恵あるところに道は拓ける。そして知恵は意
志が熱くなりすぎたときには暴走をコントロールします。意志が馬で知恵が騎手ならば、
馬がどこまでも猛々しく、騎手があくまでも冷静であれば、馬と騎手はどんなに遠いとこ
ろにも行けるでしょう。そして、熱い志を掲げ、知恵を修めるには日頃より己を磨き続け
ることが大切であり、一人ひとり意識を大きく拡げ人間力を磨き、自ら輝き魅力溢れる人
になったときに地域に頼られ求められる人となるのです。そのためには、古きより学び、
礼節を重んじながら、新しい視点で様々な自己啓発や研修プログラムを活用していきまし
ょう。内外問わない同志と切磋琢磨することは勿論のこと、今までの人生で培われてきた
観念を柔軟に転換し、既成概念と一定した見地にとらわれず、様々な方向から物事を捉え
る力を養うことが必要不可欠です。同時に、主体性を発揮する習慣も身につけなければい
けません。主体性のある人は「自分の反応を選択する能力」を発揮できます。自分の行動
に対する責任をとり、状況や環境または条件づけのせいにはせず、全ての行動は自らの価
値観に基づく意識的な選択の結果であり、状況によって起きる一時的な感情の結果ではな
いため全てにおいて自らの意志を示すことができるのです。また、周りが動くのを待って
いれば必ず周りに左右されることになります。そして、それによって自らの成長に大きな
影響を受けてしまいます。すなわち率先力を発揮し行動することが大切です。決して周り
に流され、委ねることなく、真の価値を見出し、自ら選択し行動すること。一人ひとりの
JAYCEEが光放つ気高き寒河江JAYCEEとなったとき、頼られ求められるリーダーとなり愛する地域(まち)
を力強く牽引していきましょう。
~存在意義を見つめる~ 公益はJCの源流
公益の理念とは個人の利益ではなく、世のため人のために非営利で活動することです。地
域全体のよりよい暮らし、安寧のために、自然と共生・調和し、住民本位、人間本位に立
って協働・共創することに他なりません。これはJCの基本理念でありJC宣言と綱領に
明確に記されています。私たちは公益法人制度改革に伴い今までの組織体質や既成概念に
とらわれて公益社団法人の取得に困難さを感じているように思えます。しかし原点をしっ
かりと見つめ、本質を見極めれば道は拓けてくるでしょう。変えていくべきものと、変え
てはいけないもの。何が必要で、何が不必要か。柔軟な判断と素早い行動で、ひとつひと
つ課題を乗り越え、2010年度の運動を基に公益社団法人取得を目指すことは、一つの
通過点と捉え、先を見据えた組織変革を行っていきましょう。私たちが日ごろ生業(なりわい)
としている職業も、地域の方々に求められる業(ぎょう)を行い益(えき)を提供している「仕事」です。私たち青
年が「仕事=使命」として行うJC 運動のひとつひとつも、多くの方々「公」に「利益=
価値」を提供することであり、言うまでもなく明るい豊かな未来創造の担い手は私たち青
年であり、JC の存在意義はここにあるのです。
~継続こそ力を産む~ 続けてみることへの挑戦
また、私たちの運動はJCの体質・体制である単年度制という理由から、目指す目的や志
は同じでも、その内容は変わってしまうことが多いようです。それは時流やその時代に求
められる価値に柔軟に対応してきた証でもあります。しかし、私たちは次々と新しい価値
を追い求めていくような西洋的で近代的な感覚で物事を考え、進めてきた結果に何が残っ
たのか改めて考えて欲しい。日本人の精神性、美徳や気概は必要ないのでしょうか。「一粒
の種を植え、育てた華を楽しむこともいいだろう、されど絶やさぬ努力を惜しまず根を拡
げれば、多くの華が咲きほころび、多くの喜びと価値を分かち合えるだろう。」創立以来4
3回目を数える児童文化賞や寒川交流事業、また昨年から再開された海外姉妹JCである
マレーシア・インタンJCとの交流や、昨年のまちづくり事業や青少年事業は一方からだ
けではなく、いろんな見地から検証し、変えていかなければいけないことは柔軟に変えて
いき、残さなければいけないところはしっかりと受継いでいきましょう。続けてみること
への挑戦は愛する地域(まち)により大きな「価値=公益」をもたらし、ひいては組織の根幹を強
くし、大きな力となり、拡がりのある和と地域からの信頼を築いていきましょう。
~想いを伝えることの大切さ~ 発信力向上への努力
意志を伝え広く伝播するには人と人を繋ぐことがとても重要です。人同士のコミュニケー
ションから始まり、いろんな媒体やツールを活用して発信することはこれまでに取り組ん
できましたが、受け手側の視点で考えたときに、日常的な情報量の多さになかなか気づか
なかったり、関心を引き付けなかったりする場合が多いように思われます。本質を見極め
れば私たちの運動自体の価値を高めていくことも同時に行わなければいけませんが、せっ
かくの価値を理解して参加していただく機会を提供するために、熱い意志を広く伝える努
力をしていきましょう。知恵を絞り、試行錯誤を重ねていくことは勿論のこと、一方的な
発信だけではなく、NPOや行政他、県域メディア等の各種団体との相互協力関係を築い
ていくことで、拡がりのある人同士の繋がりと絆を創造していきましょう。
~同志の輪を拡げる~ 会員拡大への努力
「一期一会」素晴らしい出会いが人生を豊かにしてくれる。日本人の心を表す茶道で有名
な井伊直弼の心得です。お茶を一服飲む行為は決して渇きをいやすというような単なる生
理的満足ではなく、私たちの精神生活に配する、人格的な深い要求を満たすということが
含まれていることは言うまでもありません。今生にこれ限りと思う気持ちで茶を点てると、
人間はふざけた心、雑念というものをことごとく脱落して、真心が現れます。その真心を
重んじたのが一期一会の精神であり、深遠な人生の道を表現していることを改めて感じま
す。青年会議所も40歳までという短い間に「一期一会」の如く、多くの人と出逢うこと
のできる機会があり、その出会いから、真の心「志」を同じうする友として一生の親友を
得ることができるでしょう。この愛する地域(まち)に一人でも多くの同志の輪を拡げていくこと
は、意志を紡ぎ繋ぐ「自ら率先して行動する集団=青年会議所」の価値を高めることです。
一人でも多くの同志が増えることで、拡がりのある運動を展開し、地域から期待される気
高きJAYCEEとして信頼を築き、未来の担い手に希望ある社会を繋いでいきましょう。
おわりに
原点回帰、人間は弱い生き物です。自然の恵みと、これまで育て支えていただいた皆さん
に感謝し、感動を共有したい。過去を変えることはできないけれど、自らの意思と未来を
変えることはこれからでもできる。希望に満ちあふれ、心ゆたかな未来創造を目指し、気
概と志を前のめりに傾けて全てのことは自分からはじめよう。それが青年としての使命で
あり、JAYCEEとしての気風なのだから。
基本理念・基本方針
基本理念
「自律自尊」己を律し魂から漲る志を創る
心ゆたかな未来創造を目指して
基本方針
1. 日本人の心から始まる意識改革運動の推進
2. 環境と調和のとれた「食」でつなぐ絆の創造
3. 自然の摂理を基にした道徳心育成の推進
4. 魂から漲る自己修練への挑戦
5. 拡がりのある和と信頼を築く継続運動の進化と推進
6. 公益社団法人取得の基盤整備と申請
7. 意志を伝え繋ぐ発信力の向上
8. 志を同じうする会員の拡大